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写真展の楽しみかたと東ティモール

大好きな写真家、
Nさんの写真展に行ってきました。
Nさんとは一緒にお仕事をしてきたこともあり、
わりと近しい関係で、
写真のことや暮らしのこと、
家族のことなんかも分け隔てなく話せる間柄です。
写真展の内容はというと、
Nさんのライフワークでもある東ティモールでの撮影。
東ティモールは、
インドネシアとオーストラリアの間にある、
四国ほどの大きさの島国です。
Nさんは2002年の東ティモールの独立の瞬間に立ち会い、
それ以来20年以上、現地に通い続けています。
いかにもNさんらしいその歩みが、 わたしはとっても好きで。
国家の独立に立ち会った写真…というと、
ジャーナリズム的な性質を帯びそうですが、
Nさんの写真には、常に市井の人々の暮らしに寄り添い、
フラットかつ温かみのある目線で、
それぞれの人々とまっすぐに向き合っている感じがあって。
ほわっと、生きてるっていいなって。
社会の問題は社会の問題として、
大きなものはもちろんあるけれど、
そこを微視化した時のプリミティブな優しさのある
人々の暮らし。
いつしかわたしたちが忘れてしまっていた、
時間の間隙や自然との調和、こころの紐帯の美しさが
Nさんの写真にはそのまま出ています。
さてさて、わたし自身は実は東ティモールについて
詳しいわけではなく、
Nさんとの付き合いも長いのに、
掘り下げてお話を聞くのは初めてでした。
(ほら、いつもお酒を飲んで笑い話ばっかりしているから…)
独立に至る経緯や現地の様子、
子どもたちの笑みを浮かべる写真の場所の、
歴史的な背景など。
写真の背景にあるものを、
キュレーションを受けながら鑑賞できるという
なかなか贅沢な時間でした。
写真展というと
「どう見たらいいかわからない」
「どうしていいかわからない」
そんなことって、ありますよね。
では、楽しむヒントをひとつ。
作家さんとお話をする。たったそれだけ。
とは言ってもねえ…となりますよね。わかります。
(わたしも人見知りなほうです)
でもね、勇気をもって、
「これ、素敵ですね、好きです」でいいんです。
在廊している作家さんに話しかけてみてください。
色々な背景や物語を話しはじめてくれるはず。
だってね、話したくって在廊しているんですから。
そんな感じで、
人懐っこいNさんの人柄もあり、
とても楽しい時間を過ごすことができました。
Nさんからは東ティモールのコーヒー事情のお話も。
フェアトレード、オーガニックの観点から、
質の高い豆を生産し始めているとのことで、
わたしも早速、生豆を取り寄せてみました。
あの地理特性かつ高地で無農薬ということは…!
熱帯×雨季と乾季×高地×霧×火山土壌…!
もしやコーヒーの宝石箱…!
環太平洋の深煎りのイメージを覆すような、
アーシーなのに、それでいて華やかな、
シングルスペシャリティであるにも関わらず、
色彩とニュアンスの豊かな表現力にあふれている。
そんな焙煎ができるんじゃないかと妄想しています。
text by Masuda (Silent Field Coffee – Roaster / Director)
photo by Yasuhiko Naoi
直井保彦 – 写真家
愛知県名古屋市出身。
東ティモールで市井の人々を撮影し、
2002年5月には独立に立ち会う。
その他フィリピン、ネパール等でも撮影。
現在は長野県上田市の別所温泉に在住し、
大地とともに生きる暮らしを実践中。
